街へ行こう

 窓の外は曇り空。今にも雨が降り出しそうな天気です。

 皮膚が腫れたという彼女の指をいたわりながら、僕は家の中で一日を過ごしている。

 初夏の気温はどこへやら。すっかり過ごしやすくなった日々でなんとか暑さしのぎはできているような気もします。  

 季節が変わり、肌寒い季節になったら帰省しようという計画は、だめになってしまい、それでもまぁいいかという気持ちが滴のように少しずつ零れて、そのうち心の器が空っぽになってしまいそう。

 見る夢はいつだって、故郷の夢。過去の夢。生きる現実は未来を標ぼうし続ける辛い日々。言われたことにいちいちチクチクして、いわれもしないことに怯えてしまって。

 なんだか、物足りない毎日です。

 指を痛めた相棒はそれでも仕事へ行きました。偉いなぁと思いつつ。

 早く帰ってくるから。今日、カラオケ?いいよ。と言ってくれることにとても感謝しています。ありがとうね。

 それでもなんでも、仕事探しは続けなくてはいけなくて、相談室からの時々の電話を何故か臆病な気持ちになりながら、待つような待っていないような。

 ネガなことは書きたくないなと思いつつ、かといって、何もしていないわけにもゆかず。難しいなというのが本音かな。

 今日は街へ行こう。カラオケでaskaさんの歌を唄おう。ご飯は外で食べよう。

 ちょっと元気になろう。今隣で寝息をたてている9ちゃんはご飯を用意して留守番してもらおう。

 美容室を取り消して、消沈している妻を元気づけよう。

 彼女が痛めた左の小指、傷跡に当たらないように、逆の手と繋いで街を歩こう。

 そうだ、そうしよう。